校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

10月7日 ロザリオの祈り

2019.10.22

 10月はカトリック教会ではロザリオの祈りの月に定められています。初等科では月曜日の聖堂朝礼で、中高等科では信徒の生徒のための宗教活動で、ロザリオの祈りを唱えました。アヴェ・マリアの祈りをマリアを思いながら、繰り返し唱えます。中高等科の宗教活動では、12年生がリーダーシップをとって祈りの意向を定め、祈りを導きます。今回は特に、教皇フランシスコが大切にしている「結び目をほどくマリア」の絵を配り、マリアの助けを願いながら祈りました。結び目をほどくマリア.jpg「結び目をほどくマリア」は、天使が固い結び目のできてしまったリボンを渡すと、それをほどいてくださる姿で描かれています。このマリアに対し、マリアは困難な状況を解決しようと努力する人々の祈りを支え、固くほどけないものとなってしまったリボンの結び目をほどくかのように解決に導いてくださるという信心をもって多くの人々が祈っていると言われます。マリアは人々の祈りを支える存在です。

 ロザリオはカトリック教会の伝統的な祈りのための道具です。連なった小さな珠が一つひとつ唱えるべき祈りを示してくれます。順番にたどりながら祈っていくと、完結した一連の祈りとなります。祈りを数える珠は、仏教にも数珠があるように、様々な宗教に見られます。色々な素材で作られたロザリオには美しさがあり、手になじむものは祈りの大きな助けともなります。

 ロザリオの聖母は10月7日が祝日となっています。この祝日の由来は、16世紀の歴史的なできごとに遡ります。ロザリオを用いた祈りをマリアに捧げることによって得られた勝利とされ、ヨーロッパ世界にとっての勝利であり、キリスト教の勝利でした。この意味合いを現代から考えると、ロザリオを通してマリアに祈ることによって、困難な状況を乗り越えられたというできごとと考えられます。しかし、キリスト教においては、父である神とその御子イエスが信仰の中心であり、父である神と御子イエスがいつも共にいて、私たちを真に導いてくださる方です。マリアが祈りをかなえてくれるというものではありません。それでも、私たちは困難に陥ったとき、誰かの病気や心配ごとなどで真剣に助けを求める心境になったとき、マリアにも祈ります。マリア自身が助けてくださるのではありません。では、なぜ祈るのでしょうか。

 マリアは私たちと共に祈ってくださる存在です。私たちが祈るのを励ましてくださる存在です。非常に大きな困難に出遭ったときにこそ神の導きを信じて祈りながら行動することが大切ですが、しばしば私たちは心配になりすぎると神を見失うことがあります。希望を失ってしまうこともあります。そのようにな状態では前進することができなくなります。まさにそのような場面で、マリアは私たちを励まし、共に祈ってくださる存在です。神の導きを信じるように励まし、きっとうまく行くという希望を思い起こさせ、共に祈ってくださる方です。ロザリオの祈りは、マリアに対するこのような信頼をもって、マリアと共に祈る祈りです。

 ロザリオの祈りは繰り返し祈るシンプルさが力を持つ祈りですが、中高等科生にはとかく単調に感じられるものです。しかし、この祈りの経験が、人生の困難な局面にもし出遭うことがあったときには大きな助けとして思い出されることを期待しています。

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