校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

カンボジア体験学習 7月26日 第5日目

2019.07.26

5日目は幼稚園訪問から始まりました。ショファイユの幼きイエズス修道女会の日本人シスターが運営に携わるアンティエ・プレスクールは日本型幼児教育を取り入れた取り組みを行っています。毎年、この園を訪れるときには、周囲の状況にも注目します。この園はシェムリアップ市街のはずれの地域にあり、バスを下車してから歩く道のりは普通の人々の生活を間近に目にする機会です。

シェムリアップ川の岸では近隣の中学生が環境教育の一環としてゴミ拾いの活動をしていました。シェムリアップ川は人口増加や周辺住民の生活様式の変化により水量が低下し、水質も悪化。流れも悪くなっているとのことですが、環境教育の成果かゴミは減っているようでした。流れの改善を目指して川幅を拡幅する工事がなされる計画のために、川岸で生活していた人々は退去させられ、川岸には更地が目立ちました。

道すがら仏教寺院の見学もしました。スピーカーで鳴り響く賑やかな音楽が寺の一角から聞こえました。儀礼を行う家族が僧侶に供物を捧げる場ということで、来世のために功徳を積むために寄進に励む信心深い人々の姿を垣間見ました。きらびやかな金色の装飾が施された寺院の姿は、日本のお寺とは異なる華やかな雰囲気でした。

アンティエ・プレスクールの隣は寺院に隣接した小学校。園の裏手には中学校・高校もあります。この園の開設を機に、近辺は文教地域となっていったとのことです。まず園長のシスター谷村から説明を聞きました。前園長と交替してこの4月に着任され、課題も多いとおっしゃりながら意欲的なお仕事ぶりが伝わりました。現地の先生を養成して継続的な運営を目指すこと、そして、経済的に困難な家庭の支援を模索し続けることなど、採算だけにとらわれない修道会の仕事ならではの考え方を伺いました。

交流を通し、子どもたちは元気がありながら質の高い教育を受けていることが伺われました。ごあいさつの場ではしっかりと、外遊びでは元気いっぱいに体を動かし、教室に入るときちんとすわって、お当番の子どもが配る給食を行儀よく食べて、今日の活動を終えていました。給食も子どもたちの健康向上のために教育の重要な活動として行われ、食後の歯磨きもその一つでした。今回歯ブラシを寄付させていただきました。交流では双方の歌の交換、そして聖心生から踊りと3匹のコブタの人形劇を披露し、その後は室内で折り紙をしたり、持参した手作りの魚釣りゲームに興じたり、園庭ではシャボン玉遊びやボール遊びを楽しみました。かわいい子どもたちと楽しい時間を過ごしました。

2番目の訪問地はトンレサップ湖の水上生活者の村。トンレサップ湖は季節によって水量が変化し、湖岸の水位が数メートルも上下する巨大な湖です。湖岸には、雨季の増水期にも水没しないほどの高さに造られた高床式の家が並ぶ村があり、湖上には船を家とする水上生活者の村があります。水上で生活する人々の様子を見学しました。今年は水量が異常に少ないということで、湖岸に乾いた土地が目立ち、船の数も少なくなっていました。環境の変化が目立ちます。チアさんから人々の生活状況について説明を聞いて、船に乗り込みました。茶色の水に浮かぶ平底船がしぶきをあげながら進んでいきましたが、水位は1メートルほどしかありません。それでも、沖合に出ると、対岸が見えないほどの広大な光景を目にし、日本にはないスケールの大きな自然の豊かさに驚かされました。

船上レストランでお弁当の昼食をいただきました。緑色のココナツのジュースも味わいました。また、ワニの養殖が一つの産業となっており、船上のプールにも大きなワニが飼われていました。ワニは食用とも、革製品の加工用にもなります。船上生活者の村では、生活のすべてが船によります。船の家屋、商店、小学校、教会もあり、交通手段はもちろん船。子どもがたらいのような小さな舟を操っている光景も目にしました。人々の生活に思いを馳せながら下船しました。

最後の訪問地は上智大学アジア人材養成センターで、アンコールワットの修復に20年も携わる三輪悟さんの話を伺いました。高校生の生徒たちに向けて、ご自分の経験をもとに何か自分らしい、意味ある生き方を目指して、メッセージを込めて話してくださいました。生徒からは質問も出され、心に残るものを得させていただいたことがうかがわれました。

夕食後にグループでの話し合いで本日の活動をまとめました。この体験学習も5日目となり、様々なことに気づき、学びを深めてきました。自国の価値観で判断・評価してしまわず、それぞれの国の文化や生活を尊重することの大切さに深く気づいています。カンボジアの人々には、カンボジアの人々の目指す幸せがあるはずではないか、そのような思いを深めています。出会った方々から聞いたことばを心に受け止めて、生徒たちは自分のものとしようとしています。

明日はまた新しい出会いの中からどのような学びを得ることができるでしょうか。

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