校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

9月3日 中高等科 9月の集会

2018.09.03

中高等科も夏休みが明け、校舎には生徒の声が響いて活気づいています。夏休み前の学年の活動もふり返りながら、これからの学校生活に向けて話しました。生徒の姿を見るのは大きな喜びです。

***生徒への話***

暑さの厳しい夏でしたが、元気に過ごすことができましたか?例年より台風も多く、気候変動を感じざるを得ない夏でした。SDGsについても考えたことでしょう。たくさんの夏の便りをもらいました。ありがとうございました。それぞれにご自分の夏の様子を知らせてくださり、7月の各学年の校外での活動、クラブ活動、奉仕活動、旅行など色々なことを通して多くのことを学ぶことのできた夏とわかりました。

7年生には、クラブ活動と中等科生としての新しい学習の仕方、夏休みの宿題と期末試験にどのように取り組むかということがチャレンジでした。8年生には7月の奥日光でのキャンプの経験は大きなものだったでしょう。人間は便利さを得る代わりに、失っているものがあるのではないかと気づいた方がありました。大変だからこそ得られる達成感や、思いやり、便利なことが当たり前と思って感謝を忘れてしまうなどのことです。今回気づいたことをチャンスと捉えて、忘れないようにしたいという考えもありました。感謝を忘れず、人の痛みや苦しみに寄り添えるようになりたいという考えもありました。ぜひ実行してください。9年生には青森県の農家の方々との出会いが大切なことだったようです。農家の方々の温かさに触れ、農業の地道な努力を知って、収穫の喜びがわかったでしょう。農家を営む厳しさを感じた方もありました。

日常生活の中から学んだことも多かったでしょう。特に10年生はそうであったと思います。夏休みに自分自身と向き合い、弱さに直面して、仲間や学校の大切さに気づいたという便りがありました。普通と思っていたことが、離れてみると新しい意味をもって見えてくるという学びだったでしょう。大事なことです。11年生には長崎での大きな学びがありました。色々な方に出会って話を聞き、生き方に触れて、平和を作ることは身近なことだと感じた方がありました。現実的に取り組んでいる人の姿に接して、平和は、人ごとではなく、自分にもできることがあるという実感をもつことができました。小さなことであっても、重要なことです。そして、12年生は黙想会に参加して、心の目をもつことの大切さに気づかれたでしょう。外見にとらわれず、情報に流されず、本質を見つめたい、見きわめたいという考えは、2泊3日の静けさと祈りの環境に身を置いてみて、初めて気づくことができるものです。これからの忙しい生活の中でも、忘れずにいてほしいと願っています。

ワークキャンプや海外体験体験学習でも様々なことを学び、人のために尽くしている人の姿や行動力に出遭ったことは皆さんの心に残っているでしょう。様々な異なる人々、他の国や異なる文化、貧富の差の中で生きる人、障がいのある方などに出会い、様々な人と共に生きることの大切さに気づかれたでしょう。自分だけでなく、相手のこと、周りの人々のことを考え、自分の力を使うこと、このような気づきを実行していらしてほしいと思います。私たちは「お互いに」という関わりの中で生きています。

このような学びや気づきは、学校での学びとは異なるものです。それらをこれから教科の学習に向かうことで深めてください。必ずつながっているものです。

私もカンボジア体験学習に行きました。毎年のようにカンボジアに行っていても、新しく知ること、もっと知りたいと感じることに出遭います。人々の生きる姿が心に残ります。そして、カンボジアを考えることは、日本のこと、世界の動きを考えることだと感じています。

8月は平和についても考える時です。私も新聞記事を読んだりテレビ番組を見たりして、特にNHKの特集番組「アメリカ人と被爆者」に取り上げられた2人のアメリカ人のことが心に残りました。アメリカでは、原爆について肯定的に捉える考え方があります。そのアメリカでも、被爆者との出会いや自分の体験を通して、戦争や暴力は許されないと自分の信念を貫く人がいました。反対意見に出遭っても、自分の感じたこと、考えたことからそれない人々です。自分の見た現実、聞いた話、ことばを忘れずに、考え抜いて、自分のものにしていった人々でした。このような人の存在を知ることは私には大きな学びでした。長崎や広島の平和宣言を皆さんは聞いたり、読んだりしましたか?今年はグティエレス国連事務総長が長崎を訪問して、被爆者にも会われました。彼はこれまでに数々の過酷な現場を見た経験の持ち主ですが、長崎が最も悲惨であり、決して繰り返してはならないと語られています。平和宣言がより一層の重みをもって聞こえました。

私は夏休みの最後に、オーストラリアのシドニー、ローズベイの聖心で行われた聖心アジア・オーストラリア・ニュージーランド地区校長会に参加する機会を得ました。台湾、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、日本の6ヶ国の校長が集まり、聖心の教育として共通することを確認しました。変化の激しい世界です。その中で、聖心の学校として、自分で考える人を育てたい、流されずに批判的に考えることのできる人を育てたい、心で感じて、知的に学び、行動する人を育てたい、この思いを共有しました。そして、さらにネットワークを強めて、もっと大きなつながりを作っていきたいと考えました。これから校長たちと協力して進めていきます。

シドニーの聖心には110年前に聖心を創立するために来日されたマザーサルモンのお墓があります。マザーサルモンは日本に派遣された4人のシスターと共に日本を訪れ、オーストラリアと日本の間を往復して日本での創立を見届けられ、1935年に亡くなられました。シンプルな十字架の立っているお墓でした。そこで感謝と共に、これからも私たちを見守ってくださるようにとお祈りしました。シドニーは港の都市で、ローズベイの聖心は港を見下ろす高台にある美しい学校です。町の中心から少し離れた寄宿学校として発展しました。どのような思いで、日本へ、東京へ来られたかと改めて考えました。マザーサルモンはフランスの生まれです。フランスからオーストラリアへ、そして日本へという大きな動きの中に生きました。それは今で言う「グローバル」です。

今年記念している聖フィリピン・デュシェーンもフランスからアメリカへという大きな動きの中に生きました。この夏の課題読書で、聖フィリピンの困難やうまくいかないという強い意識について読んだことと思います。しかし、神さまは聖フィリピンの誠実さを大切にしてくださったし、聖フィリピンのまわりの人々は聖フィリピンの成功ではなく、その生き方に心を打たれ、すばらしい人、ほんものの人と感じたのではないでしょうか。私たち誰にでも、学びと同時にうまくいかないことや失敗があります。しかし、そこから学ぶことが大切なことです。

今回の聖書朗読箇所はマルコによる福音書12章28から32節でした。イエスは最も大切な掟として第一に神を愛することをあげ、第二には神を愛するのと同じように人を愛することをあげています。これは聖フィリピンの生き方でもあります。聖フィリピンは祈りを大切にし、神との関わりを非常に大切にしましたが、もう一方で人のために尽くすことにも力を注ぎました。聖フィリピンはこれら二つのことを徹底的に追求しようとしました。この聖書のことばを生きようとしました。私たちも聖フィリピンに倣って、進んでいきましょう。

10日からは期末試験になります。そして、その後はみこころ祭の準備となります。それぞれ自分のペースをつかんで、しっかり学習に取り組んでください。うまくいかない時もあきらめず、聖フィリピンに祈って、力をもらいましょう。9月15日はGlobal Service Dayです。生徒会の呼びかけでみこころの祝日から準備してきた素敵な作品が用意されています。ひとり一人の力の結集が表されています。そこに書かれている各自の考えが、実行に移されることを期待しています。もゆる会などの活動からもGlobal Service Dayに発信することになります。

夏休みを終えて学校生活を再開することは、「変化」の時です。変化の時には、気が重くなったり不安に感じたりすることもあるものです。色々なところで、中高生がどのような気持ちでいるか心配されています。どうぞ一人で抱え込まないでください。皆さんには仲間がいます。そして、先生たちも喜んで皆さんの話を聞きます。私も皆さんのために祈ります。聖フィリピンに力をもらいながら、進んでいきましょう。

このページのトップへ
このページのトップへ