校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

6月第4週の朝礼 6月20日は世界難民の日

2018.06.23

6月20日は世界難民の日です。難民とはどのような人々なのか、児童・生徒と共に考えました。

今の季節、本校の児童・生徒はその日の天候に応じて、夏服のワンピース、冬服に長袖ブラウス、半袖ブラウスと各自で選んで着ることができます。初等科ファーストステージ朝礼の朝も雨模様の日でしたので、児童の服装には3種類が見られました。どの服装にするかは、子どもたちが自分で選んで、自分で決めて良いことの一つです。学校生活には皆で守るルールがありますが、自分で考えて、選んだり、決めたりすることがらもあります。自主性や主体性を育てる機会でもあります。別の言葉で言えば、自由、ということでもあり、聖心の児童にも、ルールと共に子どもなりの自由があります。

児童・生徒の保護者には、大人としての自由な選択の余地があり、職業や住む場所など選択することができます。日本の社会生活においては当然とされることです。児童の中には引っ越しの経験がある子どももあり、父母の仕事や子どもたちの学校の都合で転居する場合があることは理解できることでしょう。また、夏休みなど家族での旅行について話し合って決める、ということを経験することもあります。それに対し、難民となっている人々は、生活や移動について自分で決める自由が失われている人々と考えてみると理解が広がります。

難民とはどのような人々なのでしょうか。まだ記憶に新しい大阪での地震のことを思い出してもらいました。地震があれば、安全なところに逃げ、身を守るために避難しなければなりません。ファーストステージの児童も地震や避難訓練のことを思い出しながら、難民の「難」は避難の「難」と同じであることを考えました。難民の人々は住んでいるところが危険であり、逃げなければならない状況にあることを想像してみました。引っ越ししたいのでなく、自由に選べない状況で安全なところに移動しなければならないことも、少しずつ理解できました。

どこに行ったら良いかわからない、どうしたら良いかわからない大勢の人々に巻き込まれながら、急いで逃げなければならない混乱状態とは、社会的背景をまだ知らないファーストステージの児童には理解しづらいものです。しかし、戦争や対立が世界にはあり、それに巻き込まれて、逃げるしかない状況が生じることがあるということは理解できたでしょう。日本の小学生には無縁に思われることでも、世界では多くの子どもたちが難民として、家を追われています。聖心の子どもたちにとって、6月20日が難民の日であることを意識することは重要なことです。4年生の児童には「難」の字を辞書で調べて、書けるようにしてみましょうと伝えました。

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中高等科生は、6月20日には難民のシンボルカラーである青のリボンを胸につけ、理解と共感の姿勢を示しました。姉妹校交流活動SOFISは難民問題について継続的に学びを深めています。SOFISは難民についてのポスター掲示を行い、ブルーリボンの活動への参加を呼びかけました。多くの生徒がブルーリボンをつけて1日を過ごしました。

同じ6月20日に聖心女子大学では、難民問題に関するイベントが開催されました。難民の教育問題に関わる活動を行っている「SHRET」によるものです。そこに本校生も参加しました。SHRETでは本校卒業生たちも活躍しています。今回のイベントはSHRET祭として、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所代表ダーク・ヘベカー氏、難民支援を積極的に企業活動に取り入れているラッシュジャパンと、ユニクロのブランドで知られるファーストリテイリングの2社を招いてのトークも行われました。

UNHCRが発表した最新の統計によると難民は増加傾向にあり、世界全体で6850万人を数えるとのことです。これは日本の人口の約半分にあたります。約110人に一人に相当すると考えることもでき、すると、おおよそ本校の各学年の生徒数に対して一人の割合で難民となっていると考えることもできます。SHRET祭では、難民問題はひとごとではない、自分のこととして考えることが大切との指摘がありました。生徒たちにも、自分たちの学年の仲間のうち一人が難民と考えてみると難民問題が身近なものと感じられます。

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この春にはNHKテレビで、埼玉県に住むシリア難民の女子中学生とその家族を扱った特集番組が放映されました。家族の中ではその中学生が日本語が一番上手で、日本の生活に適応しようとしています。母親はユニクロで仕事をしています。ユニクロが難民の雇用に取り組んでいる企業であることは、今回SHRET祭で知ることができました。一方、父親は日本の言語や文化への適応に困難を感じていることが描かれていました。しかし、シリアでの写真が紹介されると、父親は故国では立派なレストランのオーナーであり、その家族は幸せな一家であったことがうかがわれました。難民は、その人たちの自由な選択ではなく、外的な状況によって追い込まれ、困難な生活を強いられていくものであることが改めてうかがわれました。

生徒たちが難民の日にブルーリボンをつけたことは、難民問題解決のアクションとしては小さなものであったかもしれませんが、アクションをとることができたという点では大きな意味がありました。難民問題については、難民となっている人々と共に生き、難民となっている人々から学ぼうとする姿勢をもつことがまず大切なこととされます。児童・生徒には6月20日に限らず、世界の難民問題についていつも意識をもっていること女性となっていくことを願っています。

平和と公正はSDGsの課題16です。6月23日は沖縄慰霊の日であることも意識して過ごします。

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