校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

2018年度高等科入学式 4月9日

2018.04.09

 10年生が高等科課程を始めるにあたり、入学式を行いました。9年生からのサードステージの一員としての意識をもう一段高めます。高等科は聖堂で、生徒だけの参加で行いました。聖書朗読はルカによる福音書8章22節から25節でした。10年生の学年カラーは緑です。

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 緑の学年の皆さん、高等科入学おめでとうございます。

 4月は新しい始まりの時です。高等科課程を始められる10年生の皆さんは、ここに特別の思いで集まっていることでしょう。今年は春が駆け足でやってきて、桜は春休み中に終わり、今はもう若々しい緑の若葉の時となっています。緑の学年の皆さんにふさわしい時です。若葉からいのちの勢いが湧きたっています。

 英語には「始める」を表すいくつかの単語があります。"start"、 "begin" はよく使います。入学式を "commencement" とも言いますが、"commence"も「始める」という意味です。そして船が出帆するときには"set sail"、宇宙にロケットが飛び立つときには"launch"という単語もあります。これらの言葉には、これから始まることがらへの期待が込められています。入学、始業の日にも始まりの気持ちを期待と希望を込めて持ちたいものです。

 高等科の生活と学習は自分の未来へと具体的につながる道を作っていくものです。入学はその現実的な時の始まりです。皆さんは将来どのような生き方をする人を目指したいでしょうか。今の日本では、未来のひとつの指標をオリンピックが東京で開催される2020年におくことがあります。2020年は2年後ですから、すぐ先のことです。その時、皆さんは12年生となります。どのような気持ちでオリンピックイヤーを迎えたいでしょうか。では、その10年後の2030年にはどうでしょうか。10年生の皆さんは28歳となり、大学を卒業して仕事の経験も6年くらい経ているかもしれません。その時にはどのような女性として、どこで何をする人になっていたいと思いますか。

 将来の自分は漠然と来るものではありません。今の毎日の自分の生活を通して作っていくものです。2030年の皆さんに、どの場にいるとしても、自分の生き方によろこびと自信が見いだせる人であってほしいと思います。そして、グローバルな視野をもって様々な人と共に生きる姿勢のある人であってほしいものです。今日から始まる高等科の生活には、皆さんがこのようなポジティブな生き方の人となっていくチャンスと可能性が用意されています。主体性をもってチャレンジし、自分らしさへの道を拓いていきましょう。皆さんの将来への道が少しずつでもはっきりしたものとなっていくことを期待します。

 今年2018年度は私たちの学校に重要な年です。オーストラリアから聖心のシスターが日本に来て、聖心の学校が始められたのが1908年でした。学校創立110年ということになります。そして、聖フィリピン・デュシェーンがフランスからアメリカに渡った1818年から200年でもあります。聖心の伝統をしっかり受け継ぎながら、聖フィリピン・デュシェーンのように新しいことに勇気をもってチャレンジする1年間としましょう。今年度の学校目標は「Take courage. Walk with Philippine Duchesne. 勇気をもって、フィリピン・デュシェーンと共に歩む」とします。聖フィリピン・デュシェーンは簡単に成功に恵まれることはありませんでしたが、祈り続けることによって忍耐強くやり通す方でした。どのような時も希望をもって努力しつづけられるよう、聖フィリピン・デュシェーンに学び、助けていただく1年といたしましょう。そして、世界の聖心生と一緒に聖フィリピン・デュシェーンをお祝いする1年といたしましょう。9月15日には世界の聖心でグローバルサービスデーを行うことになっています。私たちも参加したいと思います。どのようなことができるか考えていきましょう。そして国連が提唱するSDG'Sについても理解を深め、自分たちのできることを考えて実行していくことも考えていきたいと思います。

 新しいものの始まりは、変化の時です。古いものの終わりであり、それまでのものを吟味して、変化に応じて取捨選択が必要です。今年の行事の中には例年と異なるものがあります。みこころ祭の開催日を金曜日・土曜日とすることはすでに皆さんにお伝えしました。そして、今年度は球技大会と練成会の日程も変更します。球技大会はこれまで1月に実施してきました。楽しく実施してきましたが、大会後にインフルエンザが流行して学級閉鎖になることは望ましいことではありません。そこで、球技大会は10月の下旬に行います。そして、練成会を2月に行うことにしました。これまでと異なる動きになりますから、よく準備してください。皆さんがそれぞれの行事でより一層実り多く活動できることを願います。また、ソフィア・バラ ホールは来年度に改修工事をします。今年度がソフィア・バラ ホールを使える最後の年になります。この1年間大切に使っていきましょう。聖心女子専門学校についてもお知らせします。聖心女子専門学校には英語科と保育科があり、多くの優れた先輩方が学ばれました。残念ながら、学校の歴史を終えて、この3月で授業停止となりました。そこで、私たちが専門学校の校舎を受け継ぐことになりました。夏休み以降に専門学校の校舎の教室を使わせていただくことになります。聖心の伝統の継承の大事な新たな一歩となります。

 聖書朗読を思い起こし、味わいましょう。弟子たちはイエスに「湖の向こう岸に渡ろう」と言われて、イエスと一緒に船出します。舟と言っても、漁師であった弟子たちが湖で魚を捕るため使っていた小さな舟だったことでしょう。弟子たちは舟に慣れていますから、イエスに言われた通り漕ぎ出します。しかし、思いがけない大風が出て、嵐のようになり、怖くなってしまいます。それなのにイエスは舟の中で眠っています。弟子たちはイエスを起こして、大騒ぎです。ところが、イエスは全く動じません。そして、風を一喝して静めてしまいます。弟子たちはイエスの姿を見て、改めて驚きます。皆さんはこの聖書のエピソードをどう思いますか?イエスは嵐を静める超自然的な力をもっている?そうかもしれません。ここで、私は、外界の変化に動じないイエスの姿勢に注目したいと思います。私たちはいつも神さまに見守られています。神さまが共にいてくださいます。しかし、出会うできごとはいつもたやすいとは限りません。難しいこと、うまくいかないこと、がっかりさせられてしまうこと、怖くなってしまうようなことにたくさん出会います。イエスの姿から、私たちは、どんな時でも恐れたり、慌てたりせず、神さまが共にいてくださることを忘れず、落ち着いて対応することを求められているのではないか、ということを汲み取ることができます。聖フィリピン・デュシェーンはまさにそのような方だったと思います。イエスと一緒に船出したからには、どのようなことに出会っても祈りの心で忍耐し、神さまが共にいてくださることを信じ続ける。そのような心の持ち主でした。この1年間、この聖書の箇所を心にとめ、聖フィリピン・デュシェーンと共に歩んでいきましょう。

 10年生の皆さん、イエスと聖フィリピン・デュシェーンと共に、新しい生活に勇気をもって船出してください。実り多い旅となりますように。11年生・12年生の皆さんも、それぞれに充実した1年間としてください。

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