校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

2018年度中等科入学式 4月9日

2018.04.09

中等科入学はセカンドステージの中間点ですが、中等科課程の始まりの重要な時です。保護者も参列されるなか入学式を行いました。帰国生入試で入学する生徒、小林聖心から転学する生徒も迎えました。参列する8年生・9年生には始業の日でもあり、学校目標の話を一緒に聞きます。

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 7年生の皆さん、中等科入学おめでとうございます。保護者の皆さまにもお喜び申し上げます。

 中等科の生活は12年生までの聖心の学校生活の中で、一つの大きな新しい始まりの時です。皆さんは期待をもって、今日学校にいらしたことでしょう。皆さんの学年は、初等科から進学してきた方と帰国生入試で新たに加わる方、姉妹校の小林聖心から加わる方もあります。皆で新しい学年として中等科の生活を始めます。全員が新入生です。  

 聖心女子学院で目指していることは、イエスのみこころを大切に、世界の一員としてさまざまな人と共に生きる姿勢をもって、世界をより良いものにしていこうとする女性を育てることです。皆さんはそのような人になりたいと考えて、中等科を目指してくださっていることでしょう。6年間、楽しく実り多く過ごしてください。この学校では、7年生以上の各学年にシンボルカラーがあります。皆さんの学年は赤を受け継ぎます。各学年で自分たちの色に意味をみつけています。皆さんが赤の色にどのような意味をみつけて、どのような赤の学年になっていくのか楽しみです。

 中等科の生活で大事なこと、新しいことは何でしょうか。中高等科では、学習が学年ごとに深まり、教科ごとの特色がはっきりし、皆さんはそれぞれ自分の得意なもの、将来もずっと続けて学んでいきたいものをきっと見つけていきます。学ぶことの楽しさを深める体験をしてください。そして、同時に学ぶことの厳しさもきっと体験します。厳しさを通して、人はほんものになっていくことも体験してください。皆さんはそれぞれ「自分」というものを発見することになるでしょう。

「自分を発見する」ことは大きな冒険です。そのために今日から皆さんに求められることは、「自主性」と「主体性」です。自分で考えることが重要です。新しいことがたくさん始まる中で、新しいやり方、決まり事、ルールに数々出会います。それらをしっかり理解し、自ら考え、判断して、結果について責任をとることを求められています。それぞれが自分の考えで選ぶことができることも増えていきます。それはとても楽しい、やりがいのあることです。皆さん一人一人の選ぶことが、皆さんそれぞれの個性を表していくことになるでしょう。一人一人少しずつ違った手ごたえのある生活になっていくでしょう。皆さんが毎日の生活を自分で作っていくことになります。どのような違いが現れてくるか楽しみです。違った良さを、お友だちからたくさん学びましょう。違いの中に大事なことがあります。しかし、人と自分を比べないようにしましょう。お友だちの意見や考えに耳を傾けましょう。しかし、考えるのは、自分です。ものごとを選び、決めるのも自分です。人の意見に流されず、自分の考えを大切にして、はっきりさせていきましょう。自分で選んだり、決めたりすることを「自由」と呼ぶ人もいるでしょう。自由には責任が伴います。そして、聖心の生徒としての自由には、自ら進んで聖心のコミュニティの一員として、ルールや聖心として大切なことがらを守るという大きな責任も負っています。この責任は学年が上がるごとに大きくなっていきます。聖心の生徒の自由は自分勝手とは異なります。聖心の生徒としてのルールの意識、責任感を身につけることは中高等科生として大事なことです。

 今年2018年度は私たちの学校に大事な年です。オーストラリアから聖心のシスターが日本に来て、聖心女子学院を始めたのが1908年でした。今年は創立から110年となります。そして、聖フィリピン・デュシェーンがフランスからアメリカに渡った1818年から200年となります。聖心の伝統を大切に受け継ぎながら、聖フィリピン・デュシェーンのように新しいことに勇気をもってチャレンジしていきます。今年度の学校目標は「Take courage. Walk with Philippine Duchesne. 勇気をもってフィリピン・デュシェーンと共に歩む」とします。世界の聖心生と一緒に聖フィリピン・デュシェーンを記念しながら進んでいきましょう。9月15日には世界の聖心でグローバルサービスデーを行うことになっています。どんなことができるか楽しみに考えていきたいと思います。グローバルな考え方のことを「グローバルマインド」と言います。聖心の生徒として、グローバルマインドをもって考えていきたい世界の課題はSDG'sです。これについては次の機会にお話しします。

 聖フィリピン・デュシェーンのアメリカへの旅立ちは大きな決断でした。勇気が求められました。フィリピン・デュシェーンはたくさんの困難に出会いました。でも、いつもイエスが共にいてくださると信頼していました。フィリピン・デュシェーンのことを考えると、聖書の一つの箇所が思い起こされます。

 ルカの福音書の8章にこのようなエピソードがあります。イエスが弟子たちに「湖の向こう岸に渡ろう」と呼びかけ、弟子たちはイエスと一緒に船出します。弟子たちは漁師だったので、舟には慣れています。湖で魚を捕るための小さな舟だったでしょう、イエスを乗せて漕ぎ出していきました。すると湖の上で急に大風が起こって、嵐のようになり、弟子たちは驚き、怖くなってしまいます。それなのにイエスは舟の中で眠っています。弟子たちは、このままだとおぼれてしまいます!とイエスを起こします。そこでイエスは風を叱りつけて、静めてくださいます。弟子たちはそのようなイエスを見て、驚きます。

 このエピソードを皆さんはどのように感じますか?私たちはいつもイエスに見守られています。イエスは私たちと一緒にいてくださいます。それなのに、私たちは何か思いがけないことに出会うと驚いて、不安になり、神さまが一緒にいてくださることを忘れて慌ててしまいます。この聖書のエピソードは、いつもイエスが一緒にいてくださるから、どのような時も恐れなくてよいことを私たちに教えてくれます。聖フィリピン・デュシェーンもアメリカに向けて船出してから、大西洋の上で嵐にあって大変恐ろしい体験をしています。でも、その時に祈りの心でイエスに信頼しました。私たちも何か思いがけないことに出会って心配になっても、イエスが一緒にいてくださることを思い出して、乗り越えていきましょう。

 これから始まる中等科の生活で、勇気をもって新しいことにたくさんチャレンジし、自分らしさを発見していってください。8年生・9年生も一緒に、活気ある中等科を作っていきましょう。

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