校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

ゆりの行列 12月8日

2017.12.11

聖心の学校では、12月8日の聖母マリアの無原罪の祝日を「ゆりの行列」として祝っています。祈りを込めて、ゆりの花を捧げます。講堂や聖堂の中で行うものですが、一人ずつゆりの花を持って並び、美しく飾られたマリア像に捧げるこの行事は大事にしたい聖心の伝統です。

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ファーストステージでは12月5日に講堂で行いました。子どもたちと共に、マリア様のような心になれますようにと願って、マリアの心はどのような心か考えました。無原罪とは罪の可能性を持たない、イエスの母としてのマリアが受けた特別の恵みです。子どもたちは、マリア様の心は神さまを邪魔するものが何もない、神さまが中心にいらっしゃる心と感じたことでしょう。しかし、私たち人間の心は、わがままや自分勝手な思いによって、神さまが見えなくなったり、神さまのことを忘れたりすることもあります。だから、ゆりの花を捧げて、マリア様の心のようになれるよう祈ります。クリスマスに向けての心の準備としてプラクティスも始まるこの時期、今年は初等科では「いただいた光をみつける」をテーマにあげて、心を整えることに取り組んでいます。ゆりの行列のこの日もプラクティスが実行できる恵みもいただけるよう合わせて願い、祈りました。

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サードステージでは12月7日に聖堂で行いました。今年度から始めてステージごとの行事として行い、9年生から12年生が参加しました。サードステージの生徒たちとは、生徒手帳にある校章の説明文から考えました。聖心の校章は、清らかさを象徴するゆりの花が周りを縁取っています。「私たちはどんな状況にあっても、神から与えられた、また、神に属する清純さを保ちつつ、さらに成長していくのである。ゆりの花の上には聖体が形どられている。こんれは私たちが神の愛に養われて成長し、互いに結ばれて共同体を作っていくことを意味している」と書かれています。ゆりの花に示される清らかさとはどのようなことなのでしょう。

生徒たちは日頃、特に試験前などの忙しいときに、周りが見えず自己中心的になりやすいと感じています。自分のことだけになったり、自分のものさしで他人のことを測ってしまったりすることがあります。無原罪の恵みを受けたマリアは、生まれた時から人間的な弱さを免れています。私たちは忙しい時に自己中心的になりやすいように、思う通りにならない自分の現実を抱え、結果として人を傷つけてしまったり、人の信頼を裏切るようなことになってしまったりすることがあります。しかし、マリアにはそのようなことがありませんでした。では、マリアの心とはどのような心だったのでしょうか。純粋で清らかであり、妨げるものなく神とのみ共にある心であったのなら、何の屈託も憂いもない心だったのでしょうか。聖書の中ではマリアは限られた場面しか登場していませんが、それぞれの場面をよく読んでみると、マリアにもきっとどの人とも同じように、迷いや苦しみ、悲しみがあったに違いないと感じられます。しかし、自己中心性がなかったのなら、人の悲しみや辛さに共感することができ、またそれらを感じたなら無視することなく受け止め、人の思いに無関心になることがなかったでしょう。人を軽んじたり、ばかにしたりすることもなかったでしょう。自分の本心でないことに流されず、偽りを言うことがなかったでしょう。

マリアは心に生じる葛藤に負けることがありませんでした。そして、自分の心に正しいと感じること、自分の本心をいつでも選ぶことができたでしょう。このようなマリアの心に倣って、より良い自分に向かって正しい選択ができるように、自分にとってより意味のある選択ができるように願い、祈ることに私たちは招かれています。マリアの心も初めから完璧で完成されていたものではないでしょう。いただいた恵みを完成に向けて育てていらしたことでしょう。私たちも、生徒手帳に「神からいただいた清純さ」とあるように、マリアに倣う力と可能性をいただいています。完成に向けて「成長していく」ともあるように、いただいたものを保ち、育てていきたいものです。一人ひとり、自分にとってより意味のある選択ができる心となる恵みを今回は特に祈り願いたいものです。

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セカンドステージの生徒とは、特に、自分の本心に正直に、人を赦すこと、謝ることを共に考えました。自己中心性をもつ私たちは、なかなか素直に人を赦したり、謝ったりすることができないことがあります。人を赦すことは、時に大変難しいことです。このゆりの行列で、いつでも神と共にあるマリアの心に倣って、私たちも自分の本心の呼びかけに素直に、人を赦すことができるようにと、生徒と捧げるゆりの花に託して祈りました。

聖心の古いシンボルではゆりの花が2つのハートを囲んでいます。イエスのみこころとマリアの心です。マリアの心は、イエスのみこころに最も近い心です。マリアの心に倣うことは、聖心の生徒にとって重要で、意味深いことなのです。生徒手帳の説明にもあるように、聖心の生徒はゆりの花の縁取りのある校章を胸に、マリアの心を大切にしようとします。

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