校長室ブログ - Spirit of "Mikokoro" -

自分で考える:卒業生のシナリオ  9月14日サードステージ朝礼から 

2017.09.20

前回のサードステージ朝礼に引き続いて、「自分で考える」を中心テーマに話をしました。

わかりやすさ、手っ取り早く答えを求める風潮があるとしたら、あえて、自ら考える手間をとることを大切にするあり方を大事にしたいものです。

8月始めにNHK広島放送局で「ふたりのキャンバス」というテレビドラマが放映されました。広島の高校で美術を学ぶ女子生徒が、原爆の被爆者から体験を聴いて、それを絵に描くという取り組みに参加します。主人公は、少し変わっていると周りから見られている生徒と、絵の制作に取り組みながら、だんだん親しくなっていきます。そして、被爆者とこの友人との関わりから、言葉を語ること、聴くことの深さに気づいていきます。被爆者の体験を聴くことはむずかしい。被爆の体験は、伝えようとしても伝えきれない深い痛みと苦しみ、聴いても分かりきれないほどの深い体験です。それをどうにかして絵にしたいと模索するうちに、人の心の奥深さに気づいていきます。少し変わっている友人も、自分の心にあることを、ありきたりな、よくある言い回しでは表現できないと感じています。しかし、簡単に言ってくれない友人に対し、「面倒くさい」とつい言い放ってしまいます。

このドラマのシナリオを書いたのは、本校の卒業生でした。誰でも、心の奥に自分自身の言葉を持っています。それは、自分でよく考えないとつかむことのできない言葉です。心の深みにあるものを大切にすることは、聖心の教育で大事にしていることです。この卒業生もこの深みを大切に求めているのでしょう。これからの勉強のなかで、自分でよく考えることによって、自分ならではの言葉をみつけてください。自分の言葉に到達するまで、自分の深みへと向かってください。

*「ふたりのキャンバス」 作:中澤香織  NHK広島 総合 8月5日全国放送  

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